「お誕生日おめでとう」の昔の言い方を知っていますか?
実は、誕生日のお祝いが一般的になったのは、ここ80年ぐらいのことなのです。
そのため、明治時代より前は「お誕生日おめでとう」という言い方は、一般的には使われていなかったと考えられます。
そこで、この記事では、「お誕生日おめでとう」を、江戸時代風・平安時代風に表現してみました。
- 「お誕生日おめでとう」の昔の言い方(江戸時代風・平安時代風)
- 誕生日の歴史
記事を読むことで、「お誕生日おめでとう」昔の言い方・歴史がわかりますよ。
「お誕生日おめでとう」を昔風の言い方にしてみた
「お誕生日おめでとう」という言い方は、現代では当たり前に使われています。
でも、この言葉を昔の日本語に置き換えるとどうなるのでしょうか。
まず、時代設定を江戸時代と平安時代に分けて考えてみましょう。
江戸時代風の「お誕生日おめでとう」
江戸時代風の「お誕生日おめでとう」をかしこまって言う場合と、フランクに言う場合で分けてみましょう。
かしこまって言う場合は:
- 「ご誕生の祝い、誠におめでたく存じます。」
→(訳)お誕生日のお祝い、心からおめでとうございます。 - 「この佳き日を迎えられ、おめでたく存じ申し候。」
→(訳)この素晴らしい日を迎えられ、おめでとうございます。 - 「ご誕生の祝い、心よりお喜び申し上げ候。」
→(訳)お誕生日のお祝い、心からお喜び申し上げます。
フランクに言う場合は:
- 「お誕生日、おめでとうござりまする。」
→(訳)お誕生日、おめでとうございます。 - 「お生まれになった日を祝うておるぞ。おめでとう!」
→(訳)あなたが生まれた日を祝っているよ。おめでとう! - 「今日はおめえの年の日か。めでたいめでたい!」
→(訳)今日はあなたの誕生日なんだね。おめでとうおめでとう!
平安時代風の「お誕生日おめでとう」
平安時代の「お誕生日おめでとう」をかしこまって言う場合とフランクに言う場合で分けてみました。
かしこまって言う場合は:
- 「おたんじょうのおいはひ、まことにいはひたてまつる。」
→(意味)お誕生日のお祝い、心からお祝い申し上げます。 - 「このよきひをむかへられ、こころよりいはひもうす。」
→(意味)この良き日を迎えられ、心よりお祝い申し上げます。 - 「ごせいたんのひに、こころよりいはひたてまつります。」
→(意味)ご誕生日に、心よりお祝い申し上げます。
フランクに言う場合は:
- 「けふはおめでたきひなり。たんじょういわひもうしあげまする。」
→(意味)今日はめでたい日です。誕生日をお祝い申し上げます。 - 「おたんじょうびなり、おめでたうぞんじまする。」
→(意味)お誕生日ですね、おめでとうございます。 - 「けふはおうまれのひなり。まことにおめでたうございまする。」
→(意味)今日はあなたが生まれた日ですね。本当におめでとうございます。
みたいな感じになるでしょう。
昔は「お誕生日おめでとう」と祝っていたの?
現代では当たり前のように誕生日を祝いますが、実はこの習慣、日本では比較的新しいものなのです。
もともと日本には誕生日をお祝いする習慣がありませんでした。
では、なぜ誕生日を祝わなかったのでしょうか。
その理由を探ってみましょう。
昔は全員1月1日に年を取っていた
昔の日本では、「数え年」という年齢の数え方が一般的でした。
数え年では、生まれた時点で1歳とし、その後は元日を迎えるたびに1歳ずつ加算していきます。
つまり、お正月が来るとみんな一斉に年をとっていたのです。
このシステムでは、個人の誕生日よりも、新年を迎えることが重要視されていました。
そのため、個人の誕生日を特別に祝う必要性が感じられなかったのでしょう。
また、当時の日本では、個人よりも集団や家族を重視する文化があったことも、個人の誕生日を祝わなかった理由の一つかもしれません。
日本で誕生日のお祝いが広まったのは昭和から
日本で個人の誕生日が広く祝われるようになったのは、比較的最近のことです。
具体的には、1950年代(昭和20年代)ごろからだと言われています。
1949年(昭和24年)に「年齢のとなえ方に関する法律」が制定され、満年齢での数え方が普及し始めてからです。
この法律により、それまでの数え年から満年齢へと年齢の数え方が変わりました。
満年齢では、生まれてから1年経過するごとに1歳ずつ加算していくため、個人の誕生日が重要な意味を持つようになったのです。
また、この頃から西洋の文化が日本に浸透し始め、誕生日を祝う習慣も少しずつ広まっていきました。
奈良時代にお祝いをしていたとの記録も
しかし、古代・近世から誕生日に特別な行事を執り行ったことを示す文献も存在します。
おそらく最も古い記述は、奈良時代の「続日本紀」に記されている光仁天皇のお祝いです。
また、江戸幕府の将軍の誕生祝いについても多くの記録が残っています。
これらの記録から、古くから日本でも誕生日を祝う習慣が全くなかったわけではないことがわかります。
ただし、これらは主に天皇や将軍といった特別な身分の人々に限られていたようです。
一般の人々が広く誕生日を祝うようになったのは、やはり昭和以降のことだと考えられます。
まとめ:「誕生日おめでとう」の昔のいい方は「ご誕生の祝い、心よりお喜び申し上げ候。」
「お誕生日おめでとう」の昔の言い方について解説しました。
- 江戸時代風に言うと「ご誕生の祝い、心よりお喜び申し上げ候。」
- 平安時代風に言うと「おたんじょうのおいはひ、まことにいはひたてまつる。」
- 昔の日本は「数え年」だったので、個人の誕生日を祝う風習がなかった
- 昭和になってから、誕生日を祝う文化が生まれた
「誕生日を祝う」というイベントが、最近始まったことに驚きますね。
当ブログでは、いろいろな「昔の言い方」を紹介・解説しています。
その他の昔の言葉を知りたい方は、
こちらの昔の言い方一覧をご覧ください↓